梨之香の原点「地元の美味しい柚子を知って欲しい。生まれ育った地域に貢献したい。」という想い
更新日:9月14日
目次
「実生の柚子」を知っていますか?
そのまま食べても苦みの無い、無農薬、化学肥料不使用の美味しい「実生の柚子」が山梨県富士川町には有ります。実生の柚子とは、種から育った木に実る大切に育てられた貴重な柚子です。「桃栗三年柿八年 柚子は大馬鹿十八年」と言われるほど、柚子を育てるには手間と時間が掛かります。
一般的には、収穫時期を早くするために接ぎ木で栽培されている柚子が多くなっているようです。木の背が低くなるように栽培するなど、収穫がし易いように工夫もされており、収穫量を確保し害虫から守るために、何度かの農薬散布や化学肥料の使用も行われているといいます。

富士川町の実生の柚子
地元、富士川町にある農家さんの販売店で、実生の柚子を試食させていただくと、苦みが無く、とても美味しい!正にフルーツで、ビタミンも豊富!これまでの柚子の概念が飛んでしまうほど。
傷やシミなどの理由で販売に回すことができない実は、加工品用として果汁を絞り、大量に残った皮はそのまま捨てられてしまうということをお聞きしました。柚子の皮の匂いを嗅いでみると、そこにはとても爽やか且つ芳醇な香りが残されていました。

一方で、柚子農家さんも人手不足を始めとした様々な理由から、経営が容易ではないことをお聞きしました。柚子の多くは傾斜地に植えられており、下草を刈るといった作業や農園に肥料を撒く作業も、足元に注意して慎重に行う必要が有ります。そして、柚子の木にはとても硬くて尖った棘(とげ)があり、収穫する際には気を付けないと、引っかき傷を負ってしまうことや、落ちている棘を踏んで怪我をすることもあるといいます。
そこで、地元の特産である柚子の農家さんに、何らかの形で役に立てないか、と考えを巡らせました。果汁絞りの作業を請けおい、皮を仕入れ、仕入れた皮を材料に精油を蒸留し、富士川町の実生の柚子の香りを紹介することで、少しでも地元に貢献できないか。
「こんなに美味しい柚子であれば、どんなに素晴らしい香りが取れるだろうか」
「この香りを、富士川町の実生の柚子のことを、世の中の人にも知ってもらいたい」
そんな想いから、梨之香の香りづくりは始まりました。
使い道のなかった皮を「香り」に変える挑戦
最初に取り組んだのは、柚子の中綿取りです。柚子の果汁を絞った後の皮から「香り」を抽出するためには、白い中綿を取り除く必要が有ります。香り成分が含まれているのは皮の部分なのです。理想の香りを作り出すための挑戦が始まりました。
もともと製造業の会社であることから、皮むき器を導入することで機械化できないかと検討しましたが、果汁絞り後の中綿は、結局は手で取り除く方法が一番確実であることが分かり、現在も一つ一つ手作業で行っています。

材料の下準備ができたら、次の工程は柚子の果皮から精油を抽出すること。
梨之香の香りの抽出方法は水蒸気蒸留です。簡単に言うと、大きな鍋に材料と湧き水を入れて加熱し、水蒸気と一緒になった植物の成分を冷やして水と油に分けるという方法です。
生の皮は劣化が早く、早く蒸留しないと、新鮮な香りが飛んでしまいますし、柚子はペクチンが多く粘り気が強いため、蒸留時に鍋底を焦がしてしまう、という失敗を何度か繰り返しました。鍋底を焦がしてしまった精油には焦げ臭が残ります。
こういった精油は商品にすることができません。精油の抽出は準備から片付けを含めても一日がかりの仕事です。失敗すると、材料準備から蒸留までにかかる作業は全て台無しになってしまいます。材料の準備の方法や水分量、加熱時間・・・をはじめとした様々な要素を検証、試行錯誤を重ねながら香りの抽出を続けました。
そして、淡い黄金色に輝く、やさしく奥行きのある香りの精油を目の当たりにしたとき、
私たちの取り組みの可能性を感じました。
“これでたくさんの人に富士川町の柚子の香りを知ってもらえる!”
その実感が、次の一歩につながっていきました。
香りづくりは、地域の資源へと広がっていきました
柚子から始まった取り組みは、やがて他の素材へと広がっていきます。
1年間の自社敷地内でのハーブの試験栽培を経て、富士川町内の耕作放棄地をお借りし、自社の畑を持つことにしました。
20年放置され、雑草や木で覆われた土地を整備するのは大変な苦労でした。日野春ハーブガーデンの下司農場長に指導を頂きながら、栽培に適した土を作り、畝を整えて、何とか畑として再生することができました。こうして、ローズマリーやミント、セージを自分たちの手で育て、収穫した素材を蒸留して香りを抽出するという挑戦を進めました。
甲府盆地の四方を山に囲まれた山梨県では樹木は身近な存在です。地元の森林組合の森林整備の際に間伐されるヒノキやスギを始めとした樹木の枝葉も未使用資源の一つです。梨之香では、間伐された樹木の「枝葉」を森林組合さんの協力をいただきながら採取し、自社で蒸留することで富士川町の森の香りをお届けしています。
地域には、まだ活かされていない資源が数多く存在しています。それらを香りのとして活用することで、新たな価値を生み出せるのではないかと試行錯誤を繰り返しています。

梨之香が目指しているもの
梨之香が大切にしているのは、単に香りの商品をつくることではありません。
その香りが生まれた地元山梨県の背景や歴史——土地や自然、その地域の人の営みまで含めて届けることです。香りを通じて、地域の魅力や物語を知って感じていただくこと。それが、私たち梨之香の目指すものです。
日常の中に、自然の香りを
梨之香の精油や芳香蒸留水、アロマスプレーは、日々の暮らしの中でいつでも気軽にお使いいただけます。
・自宅でのリラックスタイム・仕事の合間の気分転換に
・いつもより特別な時間にしたいときの空間の演出に
・就寝前や目覚めのひとときに
自然の香りは、気持ちをゆるやかに整えてくれます。
はじめての方も気軽に、好きな香りを探して楽しむことからはじめてみてください。
ハンカチやティッシュ、お湯を張ったマグカップに精油を垂らして楽しむ方法もあれば、ディフューザーやアロマストーン、アロマペンダントなど、本当に様々なアイテムが世の中にはあります。自分に合う香りと楽しみ方を見つけていただけたらと思います。
これからの展望
現在は、自社での栽培・製造を中心に取り組んでいますが、将来的には地域の農家の方々とも連携し、ハーブ栽培を地元地域に広げていきたい、という構想も描いています。
耕作放棄地が再び畑として活用され、地域全体で香りを生み出す仕組みができたとき、この取り組みはさらに大きな価値を持つと考えています。
最後に
「慣れ親しんだ柚子で、生まれ育った地域に貢献したい」という想いから始まった小さな一歩。そこから広がった香りづくりは、これからも少しずつ形を変えながら続いていきます。香りへの興味をきっかけに、この香りが作り出される材料や生産者――背景にある物語も含めて、手に取って、香りを感じていただけたら嬉しく思います。
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